ここ数年の間に、目撃件数の増加率や大きな被害を引き起こし、ニュースでもよく話題に上がるようになったのが「クマ」。
日本には「ツキノワグマ」と「ヒグマ」という大きく分けて2種類のクマが生息しています。
ヒグマは北海道にしか生息してなく、ツキノワグマは本州と四国に生息していると言われています。
どちらのクマも基本的に人里離れた自然界に住んでいて、臆病で人を恐れているもの。
ツキノワグマは、植物性の強い雑食性。
体が大きく凶暴なイメージのあるヒグマの主食は、植物や昆虫、鮭、動物を襲うことは本来であればそれほどないのだそうです。
しかし、過疎化や高齢化によるハンターの減少だったり農耕放棄地の増加等で、クマの生息しやすい環境が広がってしまっています。それら様々な原因でクマが増え、餌が足りなくなったクマは人里に降りてくるようになりました。
こうした人に対しての警戒心を失ったクマは、市街地に近いところで生息するようになり「アーバンベア」と呼ばれ、今大きな問題を引き起こしています。
そんなことで、生息域が広がってしまったクマ。
キャンプなどアウトドア趣味の流行により山や森の中へ足を踏み入れるようになった人間。
子供の頃に歌ったあの歌のような優しいクマさんでないのなら、お互いの幸せのためにもできれば出会いたくないなと思いませんか?
クマとて、人に出会ってしまえば安全ではいられないのですもん。
距離を保ってクマを傷つけず、人も傷つけられることなく共存する・・・そんな時便利なアイテムが「クマ鈴」です。
今回は、クマ鈴についてどんな物なのか、本当に効果があるのかや5つの選び方を詳しく紹介します。
目次
クマ鈴って何?
東京都の八王子近くでもクマと疑われる野生動物が目撃されるようになった昨今、キャンプだけでなく「ちょっと畑に」「ちょっと散歩に」「ちょっとツーリングやサイクリングに」でお守りがわりにクマ鈴をつける人が増えています。
クマ鈴とは、クマやイノシシなど、人に危害を加える可能性がある野生動物に人の存在を伝えるためのもの。
本来であれば、金属製の鈴の音は自然界にはない音ですよね。
クマ鈴とは、普段は聞こえない音に怯えて逃げる臆病な野生動物の性質を利用した、野生動物と人の間に音の結界を張るアイテムなんです。
ちなみに登山中のラジオやホイッスルにも同じような効果があり、音を鳴らしながら移動することで山の中で人の存在をクマにアピールし、近距離で突然出くわしてしまうことを避ける効果があります。
クマ鈴に効果はあるけど過信はしてはいけない
クマ鈴が、どのようなものかはご理解いただけたかと思います。
クマ鈴がどんなものか分かっていても、「じゃあ買おう!とはならないのはどうしてなのか・・・。
それって、ぶっちゃけ効果あるの??って頭にあるからではないでしょうか。
効果があるのかの答えは「はい」でもあるし「いいえ」でもあります。
それは、効果がある個体もいれば、ない個体もいるからなんです。
この理由もまた「人」にあります。
クマに対しての餌付け行為やゴミの不法投棄などにより、クマ鈴や人(ラジオ)の声のする方に行けば「美味しい餌に簡単にありつけるぞ!」と学んでしまったクマがいるようなんです。
ですが「じゃあクマ鈴は効果がないからやめた方がいい」というわけでもありません。
本来は臆病な性質であるクマに「ここにはよくわからないものがある」と山にはない鈴の金属音を響かせて近づかせないように知らせるのが、クマ鈴を持つ本来の目的です。
なので、クマ鈴は持っていて損はないアイテムと言えるでしょう。
クマに遭遇して襲われてしまった時の対処策の1つである「クマの撃退用のスプレー」についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
クマ鈴の選び方の5つのポイント
①『クマに聴こえやすい音』のものを選ぶ
クマは高音に敏感なので、クマ鈴は高い音の出るものがおすすめです。
素材で言うなら真鍮や銅製が良いでしょう。
真鍮のクマ鈴は耐久性が高いので、アウトドアで使用するにはおすすめの素材。
さらに、銅製のクマ鈴なら音色がとても良いと言われています。
クマ鈴には鉄製もあります。
鉄製は、比較的中音域から低めの音が鳴ります。
真鍮製や銅製のキンキンとした音色は、クマ鈴としては効果的でも、人間には逆に耳障りに感じて周囲に迷惑をかけてしまうこともあるので、優しめの音色でクマ避けをしたい場合はあえての鉄製もおすすめです。
②音の大きさ
クマやイノシシの耳に届く高音であっても、音が小さくては意味がありません。
80dB以上の音のボリュームがあれば、クマの耳にもしっかり届きます。
音は空気を振動させて聞こえるものですよね。
なのでクマ鈴の振り子が大きいものや重いものは音が大きいことが多いので、選ぶ時の基準の1つに加えてみてはいかがでしょうか。
③消音機能
クマ鈴が必要なのは、登山中やキャンプ中。
街中だったり乗り物での移動中、人が多い場所などで、「チーンチーン」と、大音量でクマ鈴が鳴り続けていては、流石に周囲の迷惑になってしまいますよね。
もちろん、自分自身にとっても大変なストレス。
「周囲に他に人がいる環境下では話し声だけでもクマ避けになる」という説もあるので、必要がある時とない時で使い分けられるように、クマ鈴に消音機能があるとすごく便利です。
④形、数、音色で選ぶ
キャンプや登山中、自然の中でずっと聴き続けることになるクマ鈴なので、クマに聴き取りやすいだけでなく自分にとってもいい音である方が気持ちが良いものです。
チリンチリンと鳴るベル型、鈴型はシャンシャンと賑やかで涼やかな音、カウベル型はガラガラ、コロコロカラカラと優しい音が鳴ります。
また、クマ鈴は複数つけた方が良いという人もいるようです。
形や素材、数で選んでみるのもおすすめです。
⑤重さで選ぶ
クマ鈴は重い方が大きくクマが聴き取りやすい音が鳴りますが、あまり重すぎるとキャンプや登山の荷物の邪魔にもなってしまいますよね。
商品によって100g以上重さに差が出るものもあるので、素材や機能性、効果だけでなく、自分の荷物に対しての重さでも選ぶようにしましょう。
ソロサピエンス SonaBell ソナベルとは
出典:楽天
SonaBell(ソナベル)とは、山歩きのアクシデントに「備える」「ベル」。
「自分の居場所を知らせる」のは、なにもクマやイノシシのような野生動物と遭遇を避けるためだけでなく、万が一の遭難時にも役立ちます。
鈴の本体は幅5cm×高さ3.5cm、厚みが2.5cmの鉄製のベル型で、内部には円形錘を採用。
チリンチリンと、比較的優しい音色で、クマ避けして鳴らしながら歩いても、心地よい音色かつ程よい音量でバランスをとっています。
おしゃれなクマ鈴が欲しいと思って、キャンプに合わせてこれを購入してみました。
出典:楽天
また、この音はベル本体とループロック紐で固定したリング型の強力ネオジム磁石で消音することができます。
ベルの内側に磁石を差し込むだけで、音を鳴らす錘を固定することができるんです。
重量は41g、黄色とブラックの2色展開。
カラフルでデザインもおしゃれなので、リュックサックやバックパックに取り付けているとアクセントになってすごくおしゃれです。
値段も安いので、他の効果の高いクマ鈴と併用したりしても良さそうです。
最近のクマ出没情報多発でちょっぴり怖いなと感じている方は、お試し感覚で気軽に購入してみるにもおすすめです。
まとめ
最近のクマ出没ニュース、範囲も頻度も増えていてなんだか怖いですよね。
クマといえば冬眠するイメージもありますが、冬眠に入る時期は年や個体によってばらつきがあり、実際12月に入ってもテレビで東京都や今までクマ情報などがなかった地域で目撃情報がまだあります。
しかも、餌が十分に取れているため、まだ冬眠をしなくて良いクマが冬にうろついている可能性もありえます。
冬だからクマはもう大丈夫だろうというわけではないんですよね。
本来は、クマだって人と出会いたくはないはず。
「人が自然の中にお邪魔する」以上、不意打ちでクマと遭遇して不幸な事態を防ぐためにも、今後クマへの対策はきちんと覚えておいた方が良さそうです。
クマ鈴は、気軽にできるクマ対策の1つ。
本来は自然の中にない金属音を鳴らしながら移動することで、クマやイノシシなどの野生動物に人の居場所を知らせて遠ざけるためのものです。
クマには聴き取りやすい音質や音の大きさがあるので、なるべく高音で80dB以上の音が出るものを選ぶのがベスト。
ただし、クマ鈴をつけているから大丈夫というわけでもありません。
個体によってはクマ鈴によって呼び寄せられてしまうクマもいるようなので、クマ鈴はあくまでもお守り程度として考えておきましょう。
もしクマと遭遇してしまった時の対策は、きちんと頭に叩き込んでおくと良いでしょう。
また、クマのいない移動中にあまりに鳴りすぎると自分も含めて人間へのストレスになります。
消音機能があると便利なので、選ぶ時意識してみてください。
なによりも、クマに対する直接の餌付け行為だけでなく、餌付け行為につながるようなキャンプで出たゴミのポイ捨て、不法投棄、後始末や片付け不足はキャンパーとして恥ずかしい行為でもあります。
不幸な出会いと可哀想なクマを減らすためにも、キャンプの後始末はしっかり行うようにしましょう。