最近、世の中のニュースを賑わせているクマ出没情報やクマの被害情報・・・怖いですよね。
クマは、様々な理由で近年増加傾向にあります。
本来いなかった都市部にまで生息域を広げている「アーバンベア」の出没問題。
最近それを突破したなんていう記事も読みました。
さらに、ハンター不足の問題や、逆に駆除に対してのクレーム。
自然にいるクマなどの野生動物への意図的な餌付け行為だったり、マナーの悪いポイ捨て・不法投棄などによる意図しない餌付け行為、本来臆病で人に近づかないはずのクマが餌を求めて人に近寄ってくるようになってしまったなどなど、ただの出没や被害だけに留まらないさまざまな問題を抱えています。
子供の頃に歌った歌では、出会ったクマさんは優しいクマさんでしたが、実際に出会ってしまったら優しいはずがありません。
その時は、怖いなんてもんじゃないでしょう。
できれば会いたくありませんが、登山やトレッキング、キャンプなど、山や森の中に入って楽しむアウトドアアクティビティは人気があり、クマの生息域に意図せず入り込んでしまう危険性や、逆にクマが人に近づくきっかけを与える可能性も十分にあります。
本来クマは臆病な生き物なので、人に出会っても近づいてくることはあまりないそうですが、稀に近づいてくることもあります。
「ばったり出会ったら、慌てず騒がず落ち着いてゆっくりと距離をとる」「目を合わせず急に大声をあげない」「こちらに近づいてきたら自分を大きく見せるように大きな声や音を出して威嚇する」などの対策方法が少し検索しただけでも登場してきますが、本当に襲われてしまったその時に、便利なアイテムとしてよく紹介されているのが「クマ撃退スプレー」です。
人が多い遊歩道や登山道では使う機会はないかもしれませんが、こんなにもクマの被害や目撃情報が増加の一途を辿る昨今、今後山や自然の多い場所でのキャンプで身を守る必需品となるかもしれないクマ撃退スプレーについて、一度確認しておくのをおすすめします。
今回は、そんなクマ撃退スプレーについて、選び方や使い方について紹介します。
目次
クマ撃退スプレーとは
クマ撃退スプレーとは、クマが人を人として認識した上で近づいてきたり突進してきた時にクマに向かって噴射することで、クマの目や鼻や喉などの粘膜に強い刺激を与えて撃退、または怯んだ隙に逃げ出すことができる護身用スプレーのことを言います。
クマ撃退スプレーを受けたクマは粘膜に強い刺激を受けて痛みを発することになるので、致死量のダメージを喰らうことはないもののその場で人を襲う気力や食欲を一時的に減退させて逃げていくことになるようです。
クマ撃退スプレーと似ている催涙スプレーも唐辛子から抽出される成分が含まれているのですが、人用に比べてクマ用の場合は飛距離が長く、少し離れていても噴射できるようになっていて効果も人用より強くなっているとのことです。
クマ撃退スプレーの選び方
①噴射距離や噴射時間で選ぶ
出典:楽天
ヒグマやツキノワグマは、走る速さが最大時速40〜60kmにもなるというのはご存知ですか?
クマは人間の金メダリストよりも早く走ることができるなんてことを知ったら、山の中でクマに出会って突進してきたなんて状況になってしまったら絶望的って言っていいかも・・・。
そうなってしまった時の為にも、クマを撃退する手段の1つとしてクマ撃退スプレーを持っておくのは、今後キャンプやアウトドアを楽しむ人たちの常識になっていくかもしれません。
クマ撃退スプレーは、できるだけクマとの距離を持ったまま確実にヒットさせるために、噴射距離と噴射時間が長いものがおすすめです。
噴射距離は最低でも5m以上、噴射時間は5秒が目安。
また、メーカー発表の噴射距離は「室内無風状態での実験データである」ことが多いです。
実際に使用する環境は風が吹き障害物もある自然の中と考えると、5m以下・5秒以下のクマ撃退スプレーの心許なさがご理解いただけるかと思います。
②クマの種類で選ぶ
※ヒグマ
日本に生息するのは、ヒグマとツキノワグマです。
ヒグマは体が大きく北海道に生息し、ツキノワグマは黒っぽい体毛で本州と四国と広い範囲に生息しています。
なのでクマ撃退スプレーにも、ヒグマ用とツキノワグマ用があるんです。
この2種類の違いは素材の特性の違いで、油性か水性かで効果の持ちや洗い流しやすさに違いがあります。
体の大きなヒグマ用のクマ撃退スプレーは油性のもの。
油性は噴射距離が長いものが多く、スプレーに粘着力もあり、一度付着するとなかなか落ちずにしばらくの間効果を発揮してくれるという心強い存在です。
※ツキノワグマ
一方ツキノワグマ用は水性なので、ヒグマ用の油性に比べると効果の持続性は弱くなります。
ですが、ヒグマに比べてツキノワグマは体が小さいので、水性でも問題なく使用できます。
正直なところ、効果や持続性、確実性を考えると油性一択です。
ヒグマ用(油性)をツキノワグマに使用すると、ツキノワグマには効果が強すぎてしまうので、動物愛護的に不適切という意見もあったりします、
また、ツキノワグマ用(水性)を体の大きなヒグマに使用しても、今度は効果が弱すぎるかもしれません。
さらに誤射して自分に付着してしまったら、油性だとまずすぐに落とすことができませんが、水性なら洗い流すことができます。
誤噴射が起きてしまった時の被害も比較になりません。
このようなことを考えると、お出かけ先のクマの生息状況や出没情報を照らし合わせてスプレーの種類を選ぶことをおすすめします。
③強さ(辛さ評価度(SHU))で選ぶ
実は唐辛子の辛さの度合いも数値化されています。
SHU(Scoville Heat Units)スコヴィル・ヒート・ユニットと呼ばれる数値で、現在は計測機器により唐辛子の辛さ成分であるカプサイシンの量を直接測定してSHU値に換算し算出されています。
この数値は軍事用としての数値を表記する時は、食品用検査結果の10分の1で表記されるということも覚えておきましょう。
例えば、クマ撃退スプレーの軍用表記で十分な効果が見込める数値の基準は、大体15万SHU以上となるので、これを目安にしてみて下さい。
クマ撃退スプレーのおすすめアイテム
ツキノワグマ用
POLICE MAGNUM 熊撃退スプレー 中型
出典:Amazon
POLICE MAGNUMは、中型軽量タイプで持ち歩きに便利なクマ撃退スプレーです。
ツキノワグマ専用で、ツキノワグマの他はイノシシやサル、野犬などその他の野生動物にも使用することができます。
直径38×長さ172mm、重量は163g。
内容量は105gで噴射距離約5m。
噴射回数は0.5秒を4~5回(連続2~2.5秒)となっています。
周囲温度は40℃まで使用可能で、有効期限は3年以上です。
本体ラベルに記載があるので、購入時に必ずチェックしてください。
日本JSDPA認定品で取扱説明書も付属しています。
PL保険加入済(8億円) と安全面も良い感じ。
全国の都道府県における複数の県警察・国公立機関・地方自治体でも正式採用されている製品です。
ヒグマ用
UDAP 熊撃退スプレー ホルスター付 (アメリカ森林警備隊採用品)
出典:Amazon
UDAPの熊撃退スプレーは、グリズリーやヒグマに対応した強力なスプレーです。
人体には有害なスプレーとなっているので、使用時にはくれぐれもご注意を。
速射携帯ホルスター付きの便利な商品となっています。
EPA(米国の環境保護局)の熊スプレーとしての許可品で、アメリカ森林警備隊採用品、イエローストーン国立公園推奨品でもあり、日本の府県市町、電力送電関連会社、林業関連機関等でも採用されているというお墨付きの商品です。
有効射程は9.0m、容量7.9オンス入。
不燃製ガス使用品となっています。
クマ撃退スプレーでチェックすること
①使用期限
クマ撃退スプレーでチェックしておきたいことが3点あります。
その1つが、使用期限です。
クマ撃退スプレーには、使用期限があるんです。
通販で購入すると、まれに使用期限が迫っているものが届くことがあるという口コミも・・・。
購入したら、毎回必ず使用期限をチェックするように心がけ、万が一の時使えなかったり、期限が切れていたなどのトラブルが起こらないように注意しましょう。
②使い方
出典:Amazon
クマ撃退スプレーには、どのメーカーにも誤射を防ぐための安全ピンが付いています。
この安全ピンを外してから使用することになるのですが、長期間保管する時や移動する時には安全ピンが外れないように結束バンドや紐で結んでおくなどの対策をしておくとより安心ですよ。
使用時は安全ピンを外し、グリップを握り、もう片方の手で本体をホールドして握り、しっかりとクマの顔を狙って噴射してください。
至近距離だと自分にも噴きかかってしまったり、クマとの距離が近すぎて噴射する頃には手遅れになってしまうことがあります。
風の向きにも注意が必要ですが、緊急時にはそんなこと考えていられませんよね。
なので、噴射距離と長さは、長めの方がよりおすすめということになります。
③使用時の風向き
上記でも少し触れたように、クマ撃退スプレーを使用する時は風向き、そしてクマと自分の立ち位置を確認してください。
クマを風下にして噴射しないと、噴射したスプレーが風に乗って全て自分に吹きかかってしまいます。
風が横に吹いていたら、当然スプレーは横に流れるのでクマに正しく噴射できません。
クマ撃退スプレーは人に向けない・誤射・取り扱いに注意
クマ撃退スプレーはかなり強力で、動物にも人体にも大きな影響を与えるスプレーです。
人に向けて噴射したり、誤射などの事故があったら大迷惑になり、大きな事故につながってしまいます。
万が一電車など公共機関で誤発射を起こしてしまった場合には、被害者や鉄道会社から賠償金を請求される可能性もあるので十分に気をつけましょう。
自分に噴きかかってしまっても同様で、万が一のことがあったら山の中で助けも呼べずに大惨事になってしまいます。
もちろん登山やキャンプどころではなくなります。
スプレー缶であるクマ撃退スプレーに直射日光を当ててしまったり、夏場の車の中への放置、火器の近くに置くなども絶対にしてはいけません。
もしも爆発してしまったら・・・なんて考えたくもないですよね・・・。
また、クマやイノシシなど、人に危害を加える可能性のある危険度の高い野生動物の生息域の行き帰りなど、正当性のない理由でクマ撃退スプレーを携帯していることは、軽犯罪法の違反になる可能性もあるようです。
クマ対策も大切ですが、クマ撃退スプレーの取り扱いにも十分に気をつけて、正しい使い方で正しく扱うようにしてください。
そもそもクマに出会わないようにしよう
上記のことを確認してくると、クマ撃退スプレーは取り扱いは繊細に必要があり、そもそもとても危険なものであるということがお分かりいただけたと思います。
クマ撃退スプレーはクマだけでなく、人体にも悪影響を及ぼすこと。
そして何よりも、人より大きなクマを追い払うぐらいの威力を持ったクマ撃退スプレーは、クマそのものにとっても決して積極的に使って良いものではないはずです。
本来、野生動物は人に対して警戒心を持ち、近づいてはこないもの。
個体の性格や好奇心に強さ、お腹の減り具合、発情期や興奮状態、子を守ろうと過敏になっているなど、クマの状態にも個体差や季節、出会ってしまったその時によって違いがあります。
クマが増え、人の世界に近づいてきてしまっている。
そして人もまた、クマの生息域にお邪魔していることもある。
以上を踏まえ、クマなど野生動物や自然を守るために以下について再度確認してみて下さい。
・キャンプをするときは食べ物はフードロッカーなどを利用し、動物を呼び寄せてしまう匂いをむやみやたらにさせないようにする
・残飯を現地に残さず、片付け・後始末をしっかりしてゴミは持ち帰る
・野生動物へ餌付けをしない
・クマ鈴やホイッスルなども併用して事前にクマ避け対策を行う
・人が立ち入らない場所にはできるだけ行かない
・地元のクマ出没情報をチェックする
野生のクマや他の動物たちのためにできることを考え、取り組んでいきましょう。
まとめ
クマの出没や人への被害が増えることで、キャンプや登山やトレッキングなど様々なアウトドアを楽しむ人たちはクマと人の距離が血がづいていることに、今大きな不安を抱えていることと思います。
野生のクマのほとんどは人を見ても逃げていくそうですが、個体によっては人に近づいてくるだけでなくパニックに陥り襲いかかってきてしまうことも。
クマは人よりも早く走り、人よりも強く恐ろしい力を持つので、追い回されたり襲い掛かられてしまったらひとたまりもありません。
万が一のクマとの遭遇に備え、クマ撃退スプレーを持ち歩く人も多くなっているようです。
クマ撃退スプレーは、ヒグマ用とツキノワグマ用に分かれます。
本州と四国に生息するのはツキノワグマで、ツキノワグマはヒグマよりも体が小さいため、威力が強く粘着性の高い油性のヒグマ用クマ撃退スプレーでは威力が強すぎてしまうかも。
もちろん確実性を求めるのならツキノワグマにも油性スプレーの方が効果が高いのですが、動物愛護の観点から「本来であればそもそも使う必要のなかったはずのクマ撃退スプレーを使用し、ツキノワグマ専用スプレーよりも長く苦しめてしまう可能性のある強力なヒグマ用をツキノワグマに使用すること」はあまり推奨されていない、という点も理解しておきましょう。
ですが万が一に遭遇してしまった時に、クマを殺すことなく、自分も傷つけられることなく追い払うことができるクマ撃退スプレーは、今後の山のアクティビティを安全に楽しむ対策としても、とても便利なアイテムだと思います。
クマの目撃情報が止まらない昨今、キャンプに出かける際に1本購入してみてはいかがでしょうか?
しかしクマ撃退スプレーはとても強力で、使用すれば当然クマを苦しめることにもなります。
使うことないよう、私たち人間もクマのためにできることを考え、そしてクマ情報をチェックしてクマがいそうな場所には近づかないことや、餌となるゴミを持ち帰ったり、見かけたらそっとその場から離れるなどを徹底して行っていきましょう。
最新記事 by あっちゃん (全て見る)
- キャンプの雰囲気アップするおしゃれなLEDランタン!雰囲気重視のLEDランタンの選び方とメリット・デメリット!! - 2024年12月5日
- キャンプにあると便利なミニLEDランタン!!コンパクトで便利なミニLEDランタンの使い方とおすすめ商品!! - 2024年11月28日
- 流行りのミニLEDランタンのメリットとデメリットを考えてみる!ソロキャンプやファミキャンでのミニLEDランタンの役割はなに? - 2024年11月18日