キャンプ中に焚き火やバーベキューは欠かせないイベントですが、薪や炭を使うので、注意を払っておかなければ危険ですよね。
薪や炭などを燃やしている際中に、火力調整の必要があり少し位置を変えたりしたい時があります。
もちろん、素手で掴むなんてことはできないし、そもそも近くに寄るだけで凄く熱い。
燃える薪の発火点は430〜500℃、炭の燃焼温度に至っては1000℃などとも言われているので、その危険性や熱さは想像しただけでも分かりますよね。
軍手や耐火・耐熱グローブ、ゴミ用トングから、たまた100均で買えるようなBBQ用の短いトングで、ちょいちょいと掴んでしまう人もいるようです。
100均で買えるようなBBQ用の短いトングを、それ専用の道具と勘違いしている人もいるようですが、もちろんこのトングは燃える薪や炭を掴む道具ではないんです。
焼肉屋さんのトングで炭を掴むことがないように、このトングもお料理用なんです。
今では、その形状から、炭用トング、バーベキュートングとして薪や炭を取り扱う用に販売されているんですが、もともとトングとは食品を掴むものを指していたようです。(今では金属製の火ばさみもトングに含まれています。)
曖昧でごちゃまぜで使われることが多いのですが、薪や炭を取り扱うのは薪バサミなんです。
でも薪バサミとトングの違いと言われて説明はできますか?
今回はそんな「薪バサミ」について、詳しく深掘りして説明します。
目次
薪バサミとは?
薪バサミはその名の通り、バーベキューや焚き火をする時に、薪や炭を掴むためのもの。
燃やす前の薪や炭を手を汚さずに掴めるだけでなく、火がついているものを掴んで位置を変えて火力調整したりするにも便利です。
手元と火元(熱源)が離れているので、火傷をする心配もありません。
この薪バサミ、薪や炭を掴んで運ぶための道具なので名前も分かりやすく「薪バサミ」と呼ばれますが、その形状や商品によっては火箸、ゴミ用トング、炭用トングなんて呼ばれ方もするので、名前や用途がごっちゃになってしまいそうですし、実際なっている人も多そうです。
メーカーやお店側も多くの人を集客するために、それらの名称を商品名に入れているので、いつしかそれが正式名称のように広まっているというのが現状ではないでしょうか。
薪バサミとトングの違いとは?
薪バサミと、一番用途がごっちゃになりがちなアイテムを1つ選ぶとしたら「トング」を選ぶ人が多いかもしれません。
実際トングと薪バサミを兼用していたり、薪バサミもトングもまとめて「トング」と呼んでいたり、薪バサミの商品名が「トング」だったりする場合もあります。
しかしここで「薪バサミ」と「トング」をしっかり差別化してみたら、2つの特徴を挙げることができました。
①形状
まず火バサミや薪バサミと呼ばれる薪を挟むための道具は、V字の形状やハサミのような形をしているものが多いです。
そして薪や炭を掴みやすいように、その先端の形状はギザギザになっています。
火のついた薪や炭を掴むこともあるので、熱源から手元が遠くなってもしっかりと掴みながら、熱が持ち手に伝わりにくいように大きなサイズや形状的に長いものが多いように見受けられます。
ではトングはどんなものなのでしょうか?
これはパン屋さんや焼肉屋さんにでも行って実際に見てもらった方がわかりやすいかも?
パン屋さんなどでパンを掴むために使う金属のV字型のアレ、焼肉屋さんでお肉を掴む金属製の道具、あれがトングです。
あれを焚火で使っても熱くならないように長くしたのが、いわゆるキャンプでいう薪用トング、炭用トングです。
あとは一般家庭でも使われるゴミ用トングを、薪用トング、炭用トングと言っても違いはほとんどないと思います。
なので、薪用トング、炭用トングという名前で売られてる長い金属製の商品は、本来はトングではなく火バサミの中に含まれる商品なんです。
名前も用途も結構ごちゃごちゃになっているのが、今の現状かも知れません。
・火バサミ(薪用トング、炭用トング)は炭や薪を取り扱う為に長く、先端がキザギザになっている
・トングは、基本的に短く食材を傷めない為に先端のギザギザが控えめ(尖ってない)の傾向
②用途
炭用のトングと言って、食品用の短いトングを使っているという人が、話を聞くと多かれ少なかれいるようです。
ではなぜ短いトングは、薪バサミのような使用法を想定していないのでしょう?
それはそもそもトングは、食品に使う道具だからです。
トングは主にパンやパスタなどを掴むための道具なので、薪や炭のようなものを掴むための道具ではありません。
ただ、使えないわけではない。
使えちゃうから勘違いする人が出るだけなんです。
バーベキューやキャンプ、焚き火を年に何回もする人でもない限りは、わざわざ薪バサミや長いゴミ用のトングなどを準備しようと考えたり、トングってそもそも焚き火に使って良いんだっけ?なんて考える人も少なそうです。
兼用して良いの?
トングは食材に使うもの、薪バサミは薪や炭を使うためのもの。
これを兼用するかどうかは正直ここを読んでいるキャンパーさん次第ですし、どうしても明言するとしたら「兼用は衛生的にもおすすめしない」がベストかなというところでしょうか。
いくら後で綺麗に洗う、お手入れするといっても、食材を掴むトングで薪や炭を掴んで最後の後片付けやゴミ拾いまでしていたら「それはどうかな」と思う人もいるでしょうし、あまり衛生的とも言えません。
だったら最初から食材を掴む用のトングと、薪や炭の手入れやゴミ拾いや後片付けまでに使える薪バサミを別々に用意しておく方が、シンプルに楽だし誰にでも分かりやすく簡単ではないでしょうか。
薪バサミの選び方
①安物トングは避ける
元々はトングは食材を掴むための道具であって、薪や炭を掴むための道具ではありませんし、それを想定して作られていません。
なので短い食品用のトングを使って炭を掴んで作業を進めると、使用中にやけどをしてしまったり、重いものを持てずに火がついた薪や炭を落としてしまう危険性も考えられます。
安物のトングや食品用の短いトングを、薪バサミとして使用するのは避けましょう。
②形状で選ぶ
薪バサミには、大きく分けてV字とハサミ型の2つの形状から選ぶことができます。
このV字型が、薪用トングやゴミ用トングと呼ばれるものでしょう。
薪バサミとトングとを間違えてしまう人が出るのは、薪バサミとトングがよく似ているからかもしれません。
ピンセットのように握力で掴んで使用するV字型は、作りがシンプルで誰にでも使いやすいだけでなく、比較的に値段も安価。
一方ハサミ型は、ギミックがある分高価で慣れるまでに時間はかかりますが、コツさえ掴めばしっかり掴めて落下の心配も減るでしょう。
ちょっと重い薪でも掴んで持ち上げられるので、本格的に焚き火を楽しみたい人はハサミ型をおすすめします。
ですが手の小さい人や握力に自信がない人は、ハサミ型の薪バサミで薪を挟んで固定し続けるのはちょっと心配かも?
持ち手にバネが仕込んであるものなどもあるので、選ぶときの参考にしてみてください。
③材質で選ぶ
薪バサミに使用される素材は、大体がスチールかステンレス。
丈夫さで言うならスチールがおすすめなのですが、重さが出やすくサビにも弱め。
手入れの簡単さなら、ステンレスがおすすめです。
とはいえ、スチールもステンレスもどちらも頑丈で長く使用できる素材なので、結局は好みで選んだ方が楽しいかもしれません。
荷物を小さくまとめたい人には軽量なアルミニウムもおすすめです。
④長さで選ぶ
薪バサミは短めよりも長めのものを選んだ方が使いやすいです。
特に、熱対策という点では、短いものより長いものの方がいいでしょう。
キャンプのバーベキューや焚き火は火力が強く、熱源となる火元から距離を持てた方が、安全に落ち着いて火の管理ができますよね。
特に焚き火だと、火から30cmぐらい離れていても熱さを感じるので、やけどを避けるという点では、長めがおすすめです。
おすすめの薪バサミ
ASOBU 薪バサミ HIMORI-02 (長さ400mm) 焚き火 キャンプ
出典:楽天
ASOBUの薪バサミは、製図用のコンパスのようにも見える洗練されたシャープなラインが美しいデザインをしています。
こちらは同ブランドの焚き火台『IRORI』に似合う薪バサミをとデザインされた薪バサミなのだそうですが、あまりにかっこいいので紹介させていただきました。
薪バサミとしては製品自体が細めに仕上がっているので、薪と薪の隙間に入り込み小さな熾火などもいじることができるという、焚き火を育て楽しむことができます。
しかもハサミの片側が無垢の平鋼で作り上げられているので、炭になった薪を叩き割るなどができるようになっています。
見かけが細いので、太い薪や重い薪などを持ち上げられるのか心配にもなりそうですが、ハサミの先端部に機械加工で溝を作っているのでしっかり挟んで掴むことができます。
ハサミの片側には角パイプを使用。火吹き棒としても兼用できます。
使用しない時は根本部分のストッパーを用い、閉じて安全に持ち歩きましょう。
ねじ止めの構造なので、全てのパーツを分解可能。
お手入れも楽にできますし、破損時は部品交換にて対応することができます。
ASOBU 薪バサミ HIMORI-02 スペック
- 本体サイズ:長さ約400×幅12×高さ25mm
- 本体重量:360g
- 材質:SUS304(ステンレス鋼)
belmont(ベルモント)BM-258 UL hibasami
出典:楽天
ベルモントの火ばさみが細身で軽量なのは、アルミニウムをコの字型に整形しているから。
この加工により強度が出て、大きな薪にも対応可能になっています。
また、可動部にはバネ材を使用することで、へたり難く長く使用し続けることができます。
丈夫さとデザイン性、そして軽量性を重視したいソロキャンパーやツーリングキャンパーさんに特におすすめしたい製品と言えそうです。
ベルモント BM-258 UL hibasami スペック
- サイズ:全長約33cm
- 重量:約70g
- 素材:アルミニウム
FUTURE FOX 火バサミ ナバホ柄
出典:楽天
薪バサミは重い薪を掴むからこそ、どうしても薪バサミ本体そのものに強度が必要となり、重く、同じような外見になりがちです。
でもキャンパーさんの中にはみんなとちょっと違うキャンプギアが欲しいんだ!なんて考えている人もいるんじゃないですか?
FUTURE FOXの火ばさみに使われている金属は、なんとチタン合金なんです。
チタンを火バサミになんて聞いたことがないし、本当に大丈夫?と思う人もいそうですが、心配はありません。
チタンは鉄のおおよそ2倍、アルミの3倍の強度を持つ金属で、さらに少しぐらい曲げても元に戻るという「しなり」の性質を持つ金属でもあるんです。
さらにチタンはご存知の通り高い耐熱性も持ち、軽量で錆びにくい素材でもあります。
鉄やステンレス、アルミと比べても、チタンは火バサミ(薪バサミ)の素材として問題のないどころか、向いている素材とわかっていただけたのではないでしょうか?
さらにチタンの魅力は、熱を使い込むごとに現れる色の味にもあります。
これは個体差があり同じものは2つとないので「自分だけのキャンプギアが欲しい」という人にはぐさりと刺さるに違いありません。
重い薪も持ちあげやすいようにアーチ部分にステンレスを使用したり、先端部分に滑りにくい加工を施すことで細かな薪や枝も拾えるようにと、工夫が凝らされたこだわりの一品に仕上がっています。
FUTURE FOX 火バサミ ナバホ柄 スペック
- サイズ:L43×H2cm
- 重量:200g
- 素材:チタン・ステンレス
TEOGONIA(テオゴニア)Fireplace Tongs(ファイヤープレーストング)
出典:楽天
日本の下町で1つ1つ手作りされた、大人気商品のテオゴニアのファイヤープレーストング。
重厚感ある作りで、狂いの少ない職人の技が光るこだわりの薪バサミです。
本体はスチールですが、家具材としても使われるブラックウォールナット製のグリップ部分はしっかりと掴めるように面積を広げた構造になっています。
またグリップを取り替えができるなど、カスタム性もあるのが魅力となっています。
似たような商品が増えているのも、人気商品の宿命なのかも知れません。
テオゴニア ファイヤープレーストング スペック
- サイズ:全長420mm
- 総重量:390g
- 素材・本体:スチール
- 素材・グリップ:木製
detour life × FUJIKINKO 火ばさみ
出典:楽天
日本の職人さんの技術を残すために物づくりに励む「detour life / デトアーライフ」と、東京下町の金属加工工場「FUJIKINKO / フジキンコウ」のコラボにより誕生した火バサミです。
どこか懐かしいスプリングハンドルの形、昭和生まれの皆さんは見覚えないですか?
これは、昔懐かしいストーブをイメージしたデザインで、実際に取手の型を使用しているのだそうです。
本体は重厚感あるスチール製で、墨黒着色加工を施してあります。
そこの浮かび上がる真鍮製のバングルは、使い込むごとに経年変化が楽しめそうで、時間の経過が楽しみになります。
長く使う火バサミだからこそ、こういった遊び心を感じられるアイテムを使い込むのもまたキャンプの醍醐味の1つですよね。
detour life × FUJIKINKO 火ばさみ スペック
- サイズ:全長43cm
- 重量:400g
- 素材・本体:スチール
- 素材・バングル:真鍮
まとめ
薪バサミは、薪や炭を掴んだりするための道具です。
火のついたものをちょっと掴んで移動させて火力調整したり、ちょっとしたゴミ拾いや後片付けにも使用できます。
V字のピンセットのような形状をした薪バサミがトングとよく似ていたり、そもそも商品名として薪バサミにトングという名前がついていたり(他にも火バサミ、ゴミばさみ、火箸など)とも呼ばれることから、トングとごっちゃになって薪バサミとトングを兼用している人もいるようです。
しかし、トングとはそもそも食材を掴むための道具。
金属製だったり、掴むところに耐熱性の高いシリコンを使用しているために火バサミとして使用している人もいるかと思いますが、あまりお勧めできる行為ではないです。
シリコンは耐熱・耐火性の高い素材ですが、燃えないわけではありません。
薪や炭などの重いものを持つために作られてもいないので、火のついた重いものを落としてしまったりなどの事故の原因にもなりますし、そもそも衛生的に兼用するのはどうでしょうか?
ここはシンプルに食材にはトングを、焚き火やバーベキュー、その他準備などには薪バサミを使うと使い分けた方が分かりやすいです。
薪バサミにはV字の形状の掴むだけのものと、ハサミ型になっていて重いものもしっかり掴めるものがあります。
ちなみに僕的には、ハサミ型はちょっと慣れが必要で、初心者向けではないのかなと感じています。
デザインの好みもあるので、どちらかを否定するものではありません。
ただ、長さは長めのものを選びましょう。
熱源から手元が遠い方が火傷しにくく、安全に使用できます。
また、素材はスチールやステンレスを使用しているものが多いようですが、これは好みで構いません。
どちらも丈夫な素材です。
ただ、ステンレス製の方が錆には強いので「私はお手入れが甘くズボラだ!」と自覚がある人に限ってはステンレス製がいいかもしれません。
軽量製を重視するならアルミ製、変わり種ならチタン合金なんてものもあるそうです。